【西成ラプソディー#2】トイレとドラッグとカラオケ居酒屋

旅に出るために仕事を最低限に減らし旅をしていた僕はその日大阪の淀屋橋駅からアメリカ村へ特に目的もなく歩いていた。

3日前に訪れた西成で見た人々の退廃的な生活に少し魅せられていた僕は普段は昼に飲まない(タダでも飲みたいと思わない)酎ハイを買って飲み、大阪の人混みの中を歩いていた。

そして途中でコンビニに寄りつつ酎ハイ3本を飲み終えアメリカ村を散歩した。いくつか店に入ってみたが特に欲しい物もない。

西成に行くか。

いや、2本目の酎ハイをあけた頃に僕は西成に行きたくなっていた。

僕はスマホを開き西成への行き方を調べた。

西成の街についた僕は前回と違って路地や商店街を歩いた。みんな楽しそうに話していたりぼーっとしている。全く僕と変わらない生活だ。
5本の酎ハイを飲んだ僕はトイレに入りたくなり6本目の酎ハイを買ってトイレを借りようと前におじさんに話しかけられたスーパー玉出に入った。しかしトイレを貸してくれないという。

仕方ないのでコンビニに向かったがやはりトイレを貸してくれない。

そういえば公園のところにトイレがあったのを覚えていたのですぐにその公衆トイレに向かった。
トイレの洗面台でおじさんが無心に2つのタライを駆使して何かを洗っている。それはまるで2つのキーボードを弾き分けるTMN時代の小室哲哉を彷彿させた。

「マジか、、、」でも入らせてもらおう。万が一あのおじさんが後ろから刃物を突きつけて脅してきてもはじき飛ばせそうだし。

おっちゃんはこんな感じでした

「兄ちゃん、奥な、ヤバイやつ入っとるさかいいまやめとき」

えっ、どういうことだ。おっちゃんにとってヤバい=警察?(おっちゃんに失礼やな、ごめんなさい)

でも警察官が用を足しているだけなら僕にとってヤバくないからおっちゃんは止めないだろう。

ってことは僕にもおっちゃんにとってもヤバイやつ、、、めっちゃヤバそう!!!

「ヤクやっとるやつおるさかい、やめとき」

おっちゃんは何かをゴシゴシ洗いながらそう付け足して教えてくれました。

「へい、兄貴。承知いたしました!」と僕はおっちゃんに心のなかでお礼と最高の感謝を伝えました。(なぜ直接言えないのか?それはなんとなくそのおっちゃんもヤバくてあまり関わりたくなかったからです)

おっちゃんがたまたま入り口で何か洗っていたおかげで僕は助かりました。

でもヤクってもちろんドラッグのことですよね。ドラッグって安くないと思うけどここにいる人がそんなお金持ってるのかな?しかし世界でもドラッグが蔓延するのは貧困街かお金持ちの間だしな。
そんなことを考えながら自然と商店街の方へ足を向けていた。仕方ない、そこかお店に入ってトイレを借りよう。

お前もこっちの世界に来いよ、楽になっちゃえよ!と言わんばかりに街角で堂々と立ち小便をしている旦那衆の誘惑を振り切り、スーパー玉出の向かいにある商店街に無事漏らすこと無く到着した。

前回ここまで来なかったので気づかなかったけどこの商店街を入るとカラオケ居酒屋という業態の飲み屋がものがすごい数ならんでいます。競合が多すぎるのにこれだけあってどこもやっていけてるってことはお客さんがたくさんいるってことだ。

昼の3時だというのに半分くらいのお店は開いており店の前にお姉さんが立って「いらっしゃい」と誘ってくる。

これやばいでと思いながらそそくさと通り抜けていると他とは違い派手でないお店の前にこれまた派手でないおねえさん(真実をいうとおばさん)が立っていた。ガラス張りで丸見えの中をのぞくとカウンターに3人普通のおっちゃん達が飲んでるのが見えた。

ここは安心そうだ!と思った僕はトイレ貸してもらってもいいですか?と聞いて中に入りトイレを借りました。

トイレを借りたお礼に1杯だけ飲んでいこうと席に座りました。

しかしこの店のお客さんがラプソディー集団だったのです。

結局僕は終電まで約7時間滞在し、ふたたびこの店に来ることになるとはこの時は知るよしもありませんでした。

西成ラプソディー3へとつづく

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